そして僕はまた、君に出会える時を待つ
「でも……本人はやっぱりショックだったみたいで……いろいろと心配になってきちゃったみたいなのよ」
「……今後の生活とか、そういうことですか?」
「それもあるけど……」
言葉を切った加奈子さんは、何かを決意した目で僕を見つめた。
「私のこと」
「加奈子さんのこと?」
独り立ちして立派にやってる娘の、何が心配なのか……
首をかしげて問い返す僕に手を伸ばし、加奈子さんは少し寂し気に微笑んだ。
「結婚して、子供を持つ。それが何より重要なの……母にとってはね」
僕の前髪を指先で払い、頭を撫でて、加奈子さんは、泣きそうな顔で笑う。
「それを否定はしない……素晴らしいことよ。でも……そう言われた時には、ショックだった」
一般的に……また、世代を考えれば、当然のことなのかもしれない。
けれどそれは、彼女の胸にどれほどの傷をつけたのだろうか。