そして僕はまた、君に出会える時を待つ

よくよく気をつけるように、と言われたので、ここは先人のアドバイスを参考にしたいと思う。

とは言え、僕はそもそも、加奈子さんに対して何かを制限するつもりはなかった。

仕事がストレスで、辞めて家にいたいならいればいいし、働きたいのなら、そうすればいい。

僕は今の彼女を好きになったわけだから、彼女が彼女でありさえすればそれでいい。

「得手不得手ってものがありますし、夫婦の形はそれぞれでいいんじゃないですか?あ、ちなみに僕は、家事って嫌いじゃないですし」
「……そうなの?」
「ええ。必要にせまられて、と言いますか、けっこうやってきたので、一通りのことはできると思いますよ」
「そうなんだ……」
「あ、でも、僕が完全に家庭に入るっていうのも困る……というか、研究は続けたいんですけど」
「それはもちろん、続けて」

男の僕ならばこうやって、当然のように続けて、と言ってもらえる仕事も、逆の立場なら違っているのだろうか。
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