そして僕はまた、君に出会える時を待つ

「珍しいな」

つぶやいたのは、引っ張り出した箱が僕も知ってる懐かしいパッケージの、チープなものだったから。

健康ヲタク、とまではいかないけれど、きっちり自己管理をしている加奈子さんは添加物に敏感だ。

加工食品は極力避けて、パンは近くの無添加パン、野菜はオーガニック。

こういうのも食べるんだな、と意外に思いながら、僕はそれを今朝の主役に決めた。

混ぜて、焼いて、重ねて……おなじみの工程を勧めていると、背後に人の気配がした。

「起きたの?」

後ろからキュッと腰に抱き着いてきた彼女のぬくもりに頬を緩めながら言うと、背中にすり寄せられた頭がコクンと上下する。

「コレ、勝手に使わせてもらいましたよ」

指先で箱をつついて、フライパンの上のをひっくり返す。

「パンケーキ。2枚でいい?」
「……うん」
「何かに使う予定があったなら、後で買ってきましょうか?」
「……ううん」
「もしかして、間違って買っちゃった?」
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