そして僕はまた、君に出会える時を待つ

「……」

無言の加奈子さんに、まだご機嫌斜めだったのかな?と、僕は火を止めて振りかえ……ろうとしたけれど。

ぎゅっと抱きつく力を強めた加奈子さんに、それを妨害された。

「……怒ってます?ごめんね?」

やっぱり、さっきはちょっと調子に乗りすぎたのかもしれない。

反省して謝罪すると、背中にぐりぐりとおでこをこすりつけられた。

「怒ってはいない……けど……」

真っ赤な顔が見えそうな加奈子さんの声色に、思わず、声を出して笑ってしまう。


恥ずかしいんですね。

本当にもう、かわいすぎるんですけど。


仕方ないので、ちょっと体温の高い加奈子さんを背中にくっつけたまま、焼きあがった残りのパンケーキを皿に乗せる。

冷凍の色鮮やかなフルーツとヨーグルト、それに、はちみつを添えたら、まあまあの形になった。

「できましたよ、どう?」

皿を持ち上げて見せると、加奈子さんは小さな声で感想をくれる。

「……おいしそう」
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