そして僕はまた、君に出会える時を待つ
・悲しみの連鎖
プロポーズから結婚までの日々は、慌ただしく過ぎて。
僕らは時々ささいなことでモメたりしながらも、ふたりの生活を満喫していた。
最初は少し驚いていた加奈子さんのご家族にも受け入れてもらい、僕は初めての家族との交流に戸惑いながらも楽しい時を過ごした。
病気だと聞いていた義母は想像通りの穏やかな人で、義妹の美也子さんも、ほんわかした感じ。
加奈子はお父さん似なのよねえ、と義母は優しく笑っていた。
早くに結婚したという美也子さんの一人娘は、紗良ちゃん。
沙良ちゃんは家族みんなのアイドルで、義母はもちろん、加奈子さんも夢中のようだった。
「もう、本当にかわいいんだから!」
そう何度も言う加奈子さんに苦笑しながら、美也子さんの家に到着して。
初めて対面した紗良ちゃんは、本当に天使のようにかわいらしい女の子だった。
ちょっと恥ずかしそうに僕の手を握り返してくれた、小さな手の感触は忘れることができない。