そして僕はまた、君に出会える時を待つ
「雄太くんって、子供好きなのね」
帰り道、加奈子さんがそんな風に言った。
「そうなんですかね……?」
「紗良と遊んでる時、楽しそうだったし」
「そうでした?」
「うん、すごく」
「まあ、確かに紗良ちゃんはかわいかったですね」
「うん……」
ちょっと沈んだ声に、ん?と横を見ると、不安そうな顔の加奈子さんがこちらを見ていた。
「私達にも…………その……欲しい?」
そう言われて、すぐに答えは返せなかった。
結婚する=子供、という考えは一般的なのかもしれないけれど。
そもそも、結婚のことさえ考えたことのなかった僕は、今の状況にただ有頂天で、そこまで考えていなかったから。
「うーん……いたら、楽しいのかもしれませんね」
「……そっか……」
車を発進させながらの、無責任な言葉。
それに短く返した加奈子さんが、密かに婦人科に通い始めていたなんて……
僕がそのことを知ったのは、それから1年近くが経ってのこと。