そして僕はまた、君に出会える時を待つ
具合の悪そうな日が続く加奈子さんを抱きかかえながら、病院に行くよう説得していると、うつむいていた彼女が、立ち上がって部屋を出ていった。
「…………これ」
戻って来た彼女に差し出された、体温計のようなもの。
その小窓には、数字ではなく、2本の線があった。
「……なんですか?」
すぐに理解することのできなかった僕にもどかしそうな顔をした加奈子さんは、僕の隣に座ってそっと体を寄せて来る。
「できたみたい……赤ちゃん」
「…………え?!」
思わず立ち上がってしまってから、あたふたと加奈子さんの肩を支える。
「大丈夫ですか?!寝てた方がいいんじゃ……あ!病院!やっぱり病院に行った方が」
「今はちょっと食欲ないだけだから、大丈夫」
「それって、つわり?!あ~、ええと、どうしたらいいのかな……レモン?レモン買って来ます?」
ソファから立ったり座ったりする僕に大きなため息をついて、加奈子さんはポンポンとソファを手のひらで叩く。