そして僕はまた、君に出会える時を待つ
数日後、手術はあっけないほど無事に終わり、次の週には、加奈子さんは会社に出勤した。
何事もなかったような顔で働いて、以前と同じように生活をして。
そして時折、夜のリビングで泣いていた。
僕が出ていくと、気丈な彼女はきっと泣くのをやめてしまうから。
その背中を見守り、先にベッドへ戻っておいて、帰って来た彼女を抱きしめた。
無力感は増すばかりだったけれど、できることは他にない。
僕はやりきれない気持ちで、ただ、彼女の体温を感じていた。
そんな悲しい出来事からしばらくが経ち、加奈子さんの顔に遠慮がちな笑みが戻りだした頃。
次の事件が、やって来た。
「……再発、ですか」
落ち着いていたと思っていた義母のガンが転移し、また暴れだした。
手術は無事に終わったけれど、義母の体力は落ち、しばらくの安静と経過観察、それに定期的な通院が必要になる。