きみに ひとめぼれなおし
出席番号が前後ということで、これまでクループ活動やペア活動で勝見君と一緒になることは何度もあった。
テストだって何度もあって、そのたびに、問題用紙と解答用紙を前から受け取る、終わったら後ろから送るという作業を繰り返してきたはずだった。
それなのに、どうしてあの日だったかはわからない。
そして、どうして相手が勝見君だったのか、それが一番の疑問だ。

私は自他ともに認める面食いだ。
そんな私が勝見君に恋をする可能性はゼロに等しいはずだった。
しかも、一目ぼれなんて。
だって勝見君は、決してイケメンではないから。
彼女の私がそんなことを言ってしまうのはどうかと思うけど。

ただ、私は一目ぼれから始まる恋なんて成就しないと思っている。
一目ぼれして上手くいったことなんて、一度もない。
今までのどの恋も、相手と関係を進展させることはおろか、相手のことも知れず、そして私のことを知られることのないまま終わっていった。
だってイケメンは好きだけど、近づきにくいんだもん。
地味な女子の私が仲良くするなんて、身の程知らずでしょ。
それにすでに恋愛対象になってるんだから、意識して余計近づけない。

そんな経験則から、「一目ぼれから始まる恋は成就しない」という説の信憑性は、まあまあある。

それなのに、わかってるのに、私は懲りずに一目ぼれの恋ばかりしている。
面食いなんだから、もう仕方ない。
だから私が勝見君に一目ぼれするって、自分でもいまだに信じられない。
だって勝見君は、何度も言うけど、イケメンではないから。
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