闇夜に瞬く星(ひかり)
「だよねー。
でも怖かったでしょ?」
この質問に対してもまた
彼は首をゆっくりと縦に振った。
「分かるよー、その気持ち。」
「そ、そんな嘘言わなくても
いいですよ…。」
「いや、嘘じゃないよ?」
「え…、それってどういう…。」
彼が言いたいことに気付いた私は
それを遮るように立ち上がった。
「まぁさ、人間生きてれば色々あるよ。」
ほんとに人生とは分からないものだ。
でも
「ここから抜け出したくない?」
「…え?」
「今の自分から、新しい自分に
変わりたくない?」
長い前髪と分厚い黒縁メガネの
向こう側に見える彼の目を見つめて
問いかけた。