再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
フワフワのミルクティーベージュの髪。透き通るような白い肌。
人形が動き出したのかと思うような、可愛い女の子が健斗に跳びついた。
大学生くらいだろうか。
どう見ても祥よりはるかに若く美しい。
「栞ちゃん!走ったらだめだ」
健斗は慌てて抱きとめる。
「走ってないよ。ちょっと早く歩いただけ」
とろけるような笑顔で彼女は健斗を見上げた。
「先生は?」
「パパならチェックインの手続きしてる。来てすぐに健ちゃんに会えると思わなかった。嬉しい!」
「体調は?疲れはないか?」
「大丈夫。健ちゃんに会えるのが楽しみで仕方なかったから、あっという間に着いちゃった」
彼女はもう一度健斗にギュッとしがみつき、健斗はその頭を優しく撫でた。
「とりあえず部屋で休もう。悪い。また今度」
健斗は祥をチラッと見て、そう言い残すと、女の子を抱きかかえるようにして去っていった。
なんだコレ。
祥は舞台を見ているような感覚で、目の前で繰り広げられる感動の再会シーンを見ていた。
ブラボー!
そう言うべきなのか?
呆気にとられる、とはまさにこのこと。
祥はボーっとしながら二人の後姿を見つめた。
『悪い。また今度』
健斗の最後のセリフ、あれは私に向かって言ったのか。
そう気づいたのは、二人の姿が見えなくなった後だった。
健斗を健ちゃんと呼ぶあの女の子の声。どこかで聞いたような…
『健ちゃん、ランチの支度ができたよ』
四年前に画面の向こうから聞こえた声に重なる。
なーんだ。
祥は大きく息を吐いた後、仕事に取り掛かった。