再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)

       *

「ママ、おなかすいたー」
ゆっさゆっさと体が揺らされる。

「もうちょっとだけ…」
深く布団に潜り込もうとすると、さらに大きく揺すられた。

「ママ!はやくー」

祥は大きくため息を吐き、のそりと起き上がった。

休日のたびに繰り返されるルーティーン。
時計など見なくてもわかる。どうせ六時半だ。

念のため時計を確認したら、六時十五分だった。

さらに早くなってるよ…
祥はがっくりと項垂れた。

でも元気なのはいいことだ。

祥はグーンと大きく伸びをすると、つむぎに笑いかけた。

「ホットケーキ食べる?」
「食べる!つむも一緒に作る!」

つむぎは張り切って、布団から飛び出していった。


昨日は『元気のないつむぎをどうするか』というのも悩みの一つだったが、こうしていつもと同じ休日の朝を迎えられてホッとする。

実は、おとなしいつむぎを心配した恵子先生が、念入りにケアしてくれたので、夕方迎えに行った時には、いつものつむぎに戻っていたのだ。

「おかえりなさい!」と跳びついてきて、あのね、あのねとその日あったことを報告する。その姿を見ただけで、正直力が抜けた。

本当に恵子先生様様で、祥も「元気ださなあかんえ!」と喝を入れられて帰宅したのだ。


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