再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)

子どもたちを遊ばせながら莉子さんと話をしていると、凌介さんが健斗と話しながら入ってきた。

四年前は会いたいと願いながら会えずに苦しんだのに、今はこんなに頻繁に会う機会があるなんて。人生なんて不思議なものだ。

偶然にしては出来過ぎな気がするけど、祥の働くホテルのお客様で、兄の先輩の同僚でもある健斗。神様がもう一度話す機会を自然に与えてくれたのかもしれないなとも思う。

健斗も祥に気づいて足を止めた。

「今度田中先生の患者さんの手術があって、夫もその手術チームの一員なの。今日は田中先生がうちに食事にくることになっているのよ」

莉子さんが耳元で囁いた。

「少しの間、つむぎを見ていてもらってもいいですか?」

祥もこそっと言うと、莉子さんは大きく頷いた。

さすがにここで話すわけにもいかないので、健斗を外に誘う。

「田中様、少し外で話してもよろしいですか?」
「もちろん」

凌介さんにも断って、二人で外に出た。

わかたけ文庫の庭は、竹林がライトアップされていてとても綺麗だ。
こんなシチュエーションじゃなければ、胸がときめいたかもしれない。
薄暗がりの庭にたたずむ健斗はやっぱり素敵だった。

ここの庭がとても好きだったが、これからは別の思い出も加わるのかと思うと少し寂しい気もする。

でも、ここで全てを終わらせて、新しくスタートする方がいい。お互いに。

祥は静かに切り出した。

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