再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)


早いもので、十月も今日が最終日。ハロウィンの日だ。

『珈琲』では特にイベントをするわけではないが、お客様に和子さん特製のパンプキンプリンをサービスする日になっている。

「今日はカボチャの日か。もう一年たったんか。早いなぁ」

宮本さん的にはハロウィンは『カボチャの日』らしい。
『パンプキンプリン サービスディ』という張り紙を見て、感慨深げに言っていた。

過ぎ行く日々に少しセンチメンタルな宮本さんだが、長そでシャツにオリジナルデザインのTシャツを重ね着し、寒くなってきても宣伝活動に余念がない。

今日のTシャツには背中に大きく『毛玉』と書いてあった。

「『毛』という字のシュッと払ったところや、『玉』の点が外国人は好きらしい。なかなかの売れ筋なんやで」
「……ほんとに?」

世間広しと言えど、わざわざ『毛玉』と書いた服を売るのは宮本さんだけだろう。
ある意味アパレル界のパイオニア(土産物屋だけど)。唯一無二の存在だ。

「祥ちゃん、一枚どうや?」
「絶対いりません」

迷う余地なし。
相変わらず冷たいなーと言う宮本さんに、だから早く注文を、と祥は急き立てていた。

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