再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)

その後、祥と健斗は何度も話し合った。
離れていた時間を埋め、これから一緒に歩むために。

結婚を二人で決めたとしても、越えて行かなければならないことがたくさんある。

一番の気がかりはつむぎのことだ。

突然現れた〝パパ〟に戸惑い、嫌がるようなら先を急ぐのはよそう。
徐々につむぎが受け入れてくれるのを待とうと決めて、つむぎに話をする。


「つむ。遠いところにいたつむのパパが帰ってきたんだけど…。会ってもらってもいいかな?」
「つむのパパ?」
「うん」

つむぎは目を見開いて驚いた顔をした。

「いいよ…」

小さな声で答える様子に、これは時間がかかりそうと覚悟する。

ずっと母娘二人きりの生活だったのだ。
いきなり「パパだよ」と言われても受け入れられないだろう。

健斗にもつむぎの様子を知らせ、会う場所はわかたけ文庫の庭にしようと決めた。

つむぎのフォローに、双子ちゃんと莉子さんの手を借りたい。
動揺しても双子ちゃんたちと遊んでるうちに、落ち着くんじゃないかと思うのだ。

莉子さんに事情を説明したところ、驚くやら感動するやらで大騒ぎだった。

まあ、そうだろう。
記憶喪失を経て結ばれる家族?
美談のように言えば、そうとも言える。
そんなドラマのようなこと、そうそうあるもんじゃないし。

「もちろん、つむぎちゃんのフォローは私たち親子に任せて!」

両手を握り合わせて宣言する莉子さんを、凌介さんは「気合入りすぎだろ。大丈夫なのか?」と心配していた。

でも、全面協力を得ることができたのは心強い。安心してその日を迎えることができた。

< 118 / 135 >

この作品をシェア

pagetop