再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
面会可能な時間を確かめて、病室に出向く。
プリンのような柔らかいものは口にできると聞き、『京泉』の葛饅頭を持っていくことにした。
白い病院の扉。緊張しながらノックした。
コンコン
「ハイ」
微かな返事が聞こえたので、祥はそっと扉を開ける。
栞さんは背中を少し起こした状態で、横たわっていた。
ミルクティーベージュのつややかな髪。今日はゆったりと三つ編みにしている。
真っ白だった顔はほんのりピンクに色づいていて、手術前より顔色がよくなっているようだ。
「祥さんですよね?」
「はい、小林祥と申します。あの…、コレ。よろしければ召し上がってください」
祥はしずしずと紙袋を差し出した。
「和菓子ですか?嬉しい。あんこ大好きなんです」
栞さんはウフフと笑った。
「健ちゃんに聞いていたとおり、ほんとに背が高いですね。羨ましい」
私は背が低いことがコンプレックスなんです、と言って栞さんは静かに微笑んだ。
葛饅頭を冷蔵庫に入れ、「座ってください」と勧められるままに、傍らにあった椅子に腰を掛ける。
ぎこちない空気が流れ、気まずさはMAXだ。