再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)

「娘さんの写真、見せてもらってもいいですか?」
「いいですよ」
祥は、大きな口を開けて笑うつむぎの写真を見せた。

「これは…」

驚いたように栞さんは言って、小さなころの健斗と栞さんの写真を見せてくれた。

そこには髪の短いつむぎが、赤ちゃんの栞さんを抱っこする姿が写っていた。小学生になったらつむぎはこうなるだろう。そうとしか思えないくらい、写真の健斗はつむぎにそっくりだ。

「えっ!?」

絶句する祥に、「そっくりですよね」と栞さんは言ってクスクスと笑った。

「ぜひつむぎちゃんに会わせて下さい。健ちゃんと並んでるところ見てみたい」

明るい顔になった栞さんに、今度はつむぎを連れてくると約束して、病室を後にした。


しんとした廊下を歩きながら、栞さんとの会話を思い返す。

咄嗟に言ったことだけど、運命の巡り合わせというものは本当にあるのかもしれない。

ロンドンにいた健斗と京都にいる祥が出会うことだけでも奇跡なのに、予期せぬ出来事で別れ、再び出会った。

偶然にしては出来すぎの再会だと思ったけれど、共に生きる運命ならば、何があっても引き寄せあうのだと今なら信じられる気がする。

「おっ!もう帰るのか」

突然角から健斗が現れて、鉢合わせしそうになった。よろけた祥を健斗は慌てて抱きとめてくれる。

「大丈夫か?」

軽く抱き寄せられて、祥は目の前の白衣をギュッと握る。

どうした?というように祥の顔を覗き込む健斗に、一瞬かすめるようなキスをした。

「幸せになろうね」
「突然どうした」

健斗は周囲を見回し、照れくさそうにした。
そして離れる前にもう一度キュッと抱きしめ、「もちろん、三人で幸せになろう」と耳元で囁いた。

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