再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
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「新幹線!」
つむぎは目の前に入ってきた電車に興奮したように言った。
無理もない。遠出は初めてなのだ。
初めてみる新幹線に興奮もするだろう。
つむぎが嬉しそうなのはよかったが、祥の方は気もそぞろ。
いよいよ今から東京の実家に向かうのだ。
それでなくても頭が固い父なのに、突然現れた健斗にどんな反応をするだろう。
考えただけでも頭が痛い。
もちろん簡単に説明はしてある。
でも許してくれるかどうかはわからない。
「誠心誠意頭を下げるだけだ。殴られたとしても仕方ない」
健斗は淡々としているが、さすがにそれはないと思いたかった。
頭だけでなく胃も痛む。
あちこちが痛くなりながらも、なんとか実家にたどり着いた。
「おじいちゃん!」
つむぎは喜んで父に抱きつき、父は「よく来たな」と嬉しそうにつむぎを抱き上げた。
「どうぞお上がりください」
父はいつもと変わらぬ様子で健斗に声をかける。機嫌の良し悪しはわからない。
今までにわかったことなど一度もないけれど。
二人並んで神妙に座る。
「祥さんには本当に辛い思いをさせてしまいました。これからは何があっても守っていきますので、どうか結婚をお許しください」
健斗は真摯に頭を下げる。
父はそんな健斗を無言で見ていたが、驚くべきことに突然スッと頭を下げた。