再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)

幸せになるためのハードルを一つ一つ越えてきたけれど、最後のハードルは、祥が一人で越えなければならない。

仕事のことだ。

祥は数年間ロンドンに行くことになった。
将来的には日本に住もうと話してはいるが、健斗のロンドンでの仕事が急には片付かないし、かと言ってまた離れ離れになるのは辛すぎる。
そうなると、祥がロンドンに行くしかない。

仕事のことを考えると簡単に決断はできず、祥は相当悩んだ。

仕事は楽しく今までの恩義もある。
それに、『あなたも子育てが一段落したら、ちゃんと次の人に手を貸してあげてね』という藤島取締役との約束も反故にすることになってしまう。

健斗と仕事を天秤にかけるのは本当に辛かった。

散々悩んだが辞める決意をし、総支配人に話をする。

『珈琲』の常連である総支配人は、健斗のことを知っている。だから、これまでの経緯もきちんと説明した。

すると、総支配人は伝手のあるロンドンの老舗ホテルに出向できるようにしてくれたのだ。
海外研修という形を取ることになり、祥は泉ホテルに籍を置いたままロンドンに行くことになった。

「海外のホテルでの経験は、きっと泉ホテルにもいい影響を及ぼしてくれるでしょう。しっかり勉強してきてください」
「ありがとうございます…」

感動のあまり涙がこぼれそうになったが、
「小林さんの成績がよければ、これから交換研修をしていこうという話も出ています。後続のためにも頑張ってくださいよ」と言われ、ピタッと引っ込んだ。

なんと!そんな話なの?
責任重大ではないか。

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