再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)

それから祥の生活には、大学とバイトの他に『健斗』という枠ができた。
バイト帰りに待ち合わせをして一緒に食事をしたり、寝る前に一日にあったことを報告したりする。

健斗がいないときには、どんな風に夜を過ごしていたのかわからないくらいだ。

相変わらず『珈琲』のお客様と店員という関係性は変わりはなく、マスターたちには内緒にして付き合っている。
だって、宮本さんに知れたら大変だ。お店のお客様みんなに知れ渡ってしまうから。


祥の二十歳の誕生日には、神戸にプチ旅行に出かけた。

ナイトクルーズで夜景を楽しんだ後、感激しながら食べたフレンチのコース。
海が見えるホテルの部屋で、初めて口にしたシャンパン。
フワフワと酔いが回る中で、健斗がつけてくれたブルートパーズのネックレス。

全てが夢の中の出来事のようで、祥は生まれて初めて女の子でよかったと思ったのだ。

健斗は祥のショートヘアがお気に入りらしく、いつも髪の毛をクシャッとかき混ぜたがる。

長い指が祥の髪の中にスッと入ってきて、そのまま引き寄せられてキスをされる瞬間がたまらなく好きだ。

健斗が住む豪華なマンションで、二人でペタッとくっついて観る洋画もいいし、祥のワンルームマンションの狭いベッドでくっついて寝るのもいい。

図書館でそれぞれの勉強をしながら、時折目を合わせて微笑み合うのもいい。

つまり、恋人同士のアレコレが最高なのだ。

祥はサンドイッチの作り方を和子さんから教わり、家でも作るようになった。
和子さん特製のオーロラソースで作るサンドイッチ。健斗はこれが大好きなので。

遅く起きた休日のブランチは、サンドイッチとミルクたっぷりのカフェオレを二人で楽しむ。

こうして幸せな日々は過ぎて行き、健斗は大学の最終学年、祥は三年生になっていた。

< 20 / 135 >

この作品をシェア

pagetop