再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
それからの日々を二人は大切に過ごした。
健斗は国家試験に向けて勉強が忙しく、そんな健斗を祥は献身的にサポートした。
試験は二月で三月に合格発表がある。その結果を見て、すぐに健斗はロンドンに戻るのだ。
試験の前日、祥は北野にある神社にお参りをした。
どうか試験がうまくいきますように…
お守りを買って祈りをこめる。
学問の神様で有名な神社だが、梅の木も有名なので二月は人が多い。
喧騒からそっと外れて、祥も綺麗に咲く花を写真に収める。
梅の木が満開に近い。
春はもうすぐそこに来ていた。
「受かった!」
タブレットで合否を確認する健斗の横で、息をひそめていた祥は大きく安堵の吐息をついた。
よかった、おめでとうと、涙声で言う祥を健斗は力いっぱい抱きしめる。
「ありがとう。祥のお守りのおかげだ」
ホッとしたと同時に、寂しさがこみ上げる。これで健斗のロンドン行きは確定したのだ。
何の涙かわからないまま泣きじゃくる祥を、健斗はいつまでも抱きしめていた。