再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)

      *

「あのお兄ちゃん、最近見かけへんな」
コーヒーをかき混ぜながら、宮本さんが呟いた。

誰のことか言わなくてもわかる。健斗のことだ。

「ご両親がロンドンにいるので、一度帰ったそうですよ」
「そうかいな」

健斗は二週間前にロンドンに立った。
合格がわかり旅立つまでのわずかな時間は、健斗の家の片づけで目が回るように忙しく、全てが終わった今、祥は抜け殻のようになっている。

「祥ちゃん、そろそろ就職活動が忙しいんちゃうんか?」
「そうなんです。宮本さん、就活事情に詳しいですね!」
「うちにも学生のバイトの子がいるからな」

宮本さんは『満足』と書かれたTシャツを着て、自慢げに言った。

そうなのだ。祥の就活も始まっていて、エントリーシートをどんどん出しているところだ。

第一志望の『京都 泉ホテル』も先日エントリーシートを出した。
祥も自分のことをちゃんとしないといけない。ぼんやりしている暇はないのだ。

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