再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
翌日、祥は泉ホテルに来ていた。真っすぐ前を見て、堂々と歩く。
妊娠しているという引け目で、今までの面接はオドオドしてしまっていた。
今はもう、当たって砕けるならそれでよし、という心境だ。
憧れの泉ホテルには、ちゃんと自分の熱意を伝えたい。
ここで働くことを目標に頑張ってきたのだから。
面接では、しっかりと自分をアピールできた。
これでダメなら悔いはないと思えるほどに。
「最後に何か言いたいことはありますか?」
きた!祥は小さく息を吐くと、面接官の顔をしっかりと見て話した。
「実は今妊娠しています。出産予定は十二月なので、来年の四月には三ヶ月になる子どもがいる予定です」
面接官はちょっと驚いた顔をして「そうですか」と言った。
あー。やっぱりだめか。
とぼとぼと会場を後にする。
威勢のいいことを言っていても、ダメと思うと気持ちは萎える。
ホテルを出たところで、振り返ってエントランスを見た。
豪華な中に落ち着いた雰囲気。
憧れの泉ホテル。
ここで働きたかったなぁ…
フーっとため息を吐いて、祥は歩き出した。