再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
数日後、泉ホテルからメールが来た。
件名『二次面接のご案内』
嘘でしょっと祥は何回も読んで確認した。
一次面接に通った!
まだまだ先があるのに、嬉し涙がこぼれる。神様、北野の神様。ありがとう!
祥はお腹を撫でて、やったよと報告をした。
その後、なぜか泉ホテルは二次面接も通過した。他のホテルは一次面接も通らなかったのに。
件名『最終面接のご案内』
メールの見出しをまじまじと見て、祥は眉を寄せた。
こうなってくると、気持ちの中で懐疑心が生まれる。
妊娠してるってちゃんと伝わってないのかも。聞き間違えられたのかも。
じゃないとスイスイ面接に通るはずがない。
最終面接は役員との面談だ。
ハッキリと伝わるようにちゃんと言おう。
祥はお腹を撫でて、最後まで頑張るよと報告をした。
泉ホテルのエントランス。三回もここに来れるとは思ってもみなかった。
泣いても笑ってもこれが最後。よしっと気合を入れて、ホテルの中に足を踏み入れた。
祥が通された部屋には、いかにも出来る女という感じの綺麗な女の人がいた。
机には『取締役 藤島葵』というプレートが置かれている。
キリッとした人だが、怖いわけではない。祥が泉ホテルに憧れを持ち、ここで働きたいと思っている熱い想いを微笑みながら聞いてくれた。