再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
「はい、ではこれで面接は終了です。何か言い残したことはありますか?」
きたきた!
ちゃんと伝えなければ。
祥は座り直して、面接官の目を真っすぐに見た。
「一次面接でもお伝えしましたが、今妊娠しています。出産予定は十二月なので、来年の四月には三ヶ月になる子どもがいる予定です」
「ええ、そうらしいわね。入社後は託児部に子どもを預けたいのよね?」
藤島取締役は、手元のタブレットを見ながら普通のことのように言った。
「え?」
「え?」
思わず二人で見つめ合う。
藤島取締役はプッと吹き出した。
「小林さん、うち以外は全部ダメだった?」
「はい」
そうかー、しょうがないかもしれないけどねと、藤島取締役の口調が突然砕けたものになった。
「女性はその性別である以上、妊娠や出産を経験する人が多いわ。でも、働いている人には出産休暇や育児休暇がちゃんとあるのに、就職しようとしている人は妊娠しているとダメなんておかしいじゃない。だからうちでは、妊娠が不採用の理由にはならない」
そうでしょ?と藤島取締役は笑った。