再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
祥が勤める『泉ホテル』には託児部という部署があり、会社が社員として雇った保育士が常駐している。
託児スペースはホテル内にあり、すぐに様子を見に行くこともできるし、病児保育にも対応してくれる。
ホテルならではのメリットで、具合が悪い時は空室で寝かしてくれるのだ。
生後三ヶ月からつむぎを預けている祥にとって、託児部の人たちは一緒に子育てをしてくれる家族に等しい。
中でも、恵子先生という祥の親世代の先生には本当にお世話になっている。
今日もつむぎは託児ルームに着いた瞬間から「けいこせんせー」と跳びついていき、笑顔でバイバイと手を振って祥を仕事へと送り出す。あまりにもあっさりと祥から離れるので、祥の方が寂しくなるぐらいだ。
「祥ちゃん、はよせな仕事に遅れるえ」
恵子先生は生粋の京都人でなまりがすごい。つむぎもその影響を受け、ここではかなりの京言葉を使う。
「そやそや。はよう」と可愛い声で追い立てるので、祥は笑いながら着替えに行った。