再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
ナポリタン、オムライス。
メニューの数はそんなに多くはないけれど、喫茶店といえばコレよね!といったメニューが揃う。
なかでも、厚切りのバタートーストとサンドイッチは人気が高い。
厚さ4センチのバタートーストは、十文字に切り込みが入り、一口噛むとジュワっとバターが染み出てくる。添えてあるハチミツをかけて食べると、トリップしてしまいそうになるほど美味しい。
サンドイッチは、軽くトーストしたパン・ド・ミにキュウリ、ハム、卵が挟まっている。オーソドックスなサンドイッチだが、卵はゆで卵ではなく、ふんわりと焼いたもので、和子さん特製のソースが味の決め手だ。
常連客の宮本さんは、いつもバタートーストとサンドイッチのどちらにするかで五分は悩む。
「メニューはわかってるんですから、決めてきてくださいよ」
祥が呆れて言うと、「冷たいこと言わんと。今日はバタートーストにしよと思ってくるのに、店に入ると迷うんやがな」と言って、またうーんと悩みだすのだ。
祥の担当は野菜の下ごしらえ、つまり切るだけなのだが、和子さんに「祥ちゃんが切った野菜は形が揃ってていいわ」とおだてられ、上機嫌で包丁を握っている。
鼻歌を歌いながらサクサクと切っていると、マスターと和子さんが出勤してきた。