再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
実家に報告に行った後、祥はマスターと和子さんにも妊娠していることを打ち明けた。
妊娠五ヶ月の時点ではまだ目立っていなかったが、すぐにお腹が大きくなっていく。マスターたちに内緒にしておくことは不可能だった。
一人で子どもを産み育てるという祥を、二人はすごく心配してくれた。
父親について深く聞かれなかったのは、なんとなくわかっていたからじゃないかと思う。
マスターは、うーんと考え込んでいたが、祥の決意が固いとわかると、『珈琲』の二階に住むことを勧めてくれたのだ。
「よしっ!わかった。わしらも協力しよう。祥ちゃんの子どもは、わしらにとっても孫みたいなもんや」
元々、『珈琲』の二階はマスターたちが新婚の頃住んでいた場所で、子どもができ手狭になったので今の家に移ったのだそうだ。1DKだがお風呂もあり、祥と子どもの二人暮らしなら十分な広さだ。
「何かあったら、すぐに頼ってくれたらいい。わしらには孫が二人おるんやから、一人ぐらい増えてもどうってことないから」
時々店を手伝ってくれたら家賃はいらんで、とマスターは優しく言ってくれた。
お腹が大きくなる前に引っ越しを、と急かされ、九月にはもう『珈琲』の二階に移り住んでいた。
家具は宮本さんが軽トラックで運んでくれ、荷物の整理は和子さんが手伝ってくれた。
みんなに助けられて今がある。
本当に感謝しかない。