再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
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「ママ、おなかすいたー」
ゆっさゆっさと体が揺らされる。
「もうちょっとだけ…」
深く布団に潜り込もうとすると、さらに大きく揺すられた。
「ママ!はやくー」
祥は大きくため息を吐き、のそりと起き上がった。
子どもってなんでこんなに早起きなんだろう。
今日は仕事が休み。もう少し寝ておきたかったのに…
時計を見ると六時半だ。祥はがっくりと項垂れた。
「まったくおねぼうさんなんだから」
つむぎは腕を組んで呆れたように言った。
子どものボキャブラリーの増え方は謎だ。
そんな言葉よく知ってるね、というようなことを突然言い出す。
「ハイ、スミマセン…」
祥はぼさぼさの頭を下げて謝った。
簡単に朝食を作り、洗濯、掃除とパタパタ走り回る。
普段できないことは休日にまとめてするようにしている。
午後からは買い物に行って、料理の作り置きもしなくてはいけない。
ハッキリ言って休日の方が忙しいのだ。
午前中の家事が終わると、散歩に出かける。
あっちこっちと脱線するつむぎにつきあいながら、のんびりと歩く。
祥はいつもホテルの中にこもりきりなので、日の高いうちに外にいることがほとんどない。
落ちているどんぐりを見て、世の中は秋だったのねと感心した。
つむぎは託児中に、外遊びに連れて行ってもらっているので何を見てもあまり感激しない。
どんぐりを手に取り「コレ、このまえひろったよ」と余裕の発言だった。