再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
「ここは図書館なんですか?」
「はい。私設図書館です。個人の蔵書を有料で開放しているんです」
「ママ―、えほんよんでいいの?」
つむぎが手を引っ張ってねだる。
「最初は無料体験なのでどうぞ」
もう一人いたスタッフの人がやってきて、つむぎを絵本のところに連れて行ってくれた。
ここは、児童文学を研究していた大学教授がリタイア後、自分の蔵書をたくさんの人に読んでもらいたいということで、自宅を解放して作られた私設図書館なのだそうだ。会員になれば、自由に本を読めるし借りることもできる。
東京にも同じような私設図書館があり、最初に話しかけてくれたキレイな女の人はそちらのスタッフなのだという。
「ここの立ち上げを依頼されたんですが、夫がたまたま京都に研修で来ることになったので、家族みんなで来ちゃいました」
三歳になる双子の娘がいるんですよ、とスタッフさんは微笑んだ。
「同じ歳くらいかな?」と言われ、「はい!うちの娘も三歳です」と祥は喜んだ。
祥はずっと働いているので、いわゆる『ママ友』という人がいない。
子育ての話をするのも新鮮で、とても楽しい時間を過ごした。
「私は柳田莉子(やなぎたりこ)と言います。よろしければ、また来てくださいね。つむぎちゃん、またね」
莉子さんに見送られると、つむぎは嬉しそうに手を振った。
お昼は、庭にあるカフェでお弁当を食べた。
図書館にカフェまでついていたら、一日中遊べそうだ。
出されたランチプレートは野菜たっぷりで、美しい日本庭園を見ながらいただくのが最高だった。