再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
また医者の出現!?
祥は怯んだ。
これは一体どういうことだ。祥には医者を引き寄せる何かがあるのだろうか。
でももっと驚きの事実があった。
莉子さんの夫、柳田凌介さんは東京にある柳田総合病院から来ている心臓外科医というではないか。
柳田総合病院!
実家のすぐそばだ。
祥もかかったことがあるし、父の診療所で大きな病院を紹介するときには、柳田総合病院を紹介している。
つい、そのことを話してしまうと、「もしかして、お父さんは小林循環器内科の小林先生?」という返事が返ってきた。
あー、そうなるよね、知らないはずないもの、とがっくりと項垂れる。
余計なことを言っちゃったな、と思いながら「ソウデス…」と答えた。
「じゃあ、キミは小林の妹さんか!」
すごい偶然だな、と凌介さんは目を丸くした。
「小林は研修医をしていたときの後輩で、小林の奥さんは俺の同期だよ」
なんと凌介さんは、兄の先輩でもあった。
実は兄の奥さんも医者なのだ。今、兄は奥さんと共に、奥さんの実家の病院で働いている。
祥の周りは、医者、医者、医者、医者、医者だらけ。
嫌がれば嫌がるほど、医者が湧いてくる。
神様、巡り合わせの神様。私が一体何をしたというのでしょう。
祥はよよよと泣きたかった。
莉子さんも兄のことを知っているらしく、とても驚いている。
「小林先生の妹さんなら、もうただの利用者さんじゃないわ」
祥ちゃんと呼ばせてね、と莉子さんは嬉しそうだ。
「ハイ、ヨロシクオネガイシマス…」
「じゃあ、また来てね」と盛大に見送られて『わかたけ文庫』を後にした。
「まほちゃんが、りほちゃんが、」と興奮気味に話すつむぎの話を遠くで聞きながら、「へー、それはすごいね」と適当に返事をする。心の中では医者の祟りはどうしたら拭えるのかと真剣に考えていた。