再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
「今日はメニュー決めてきました?」
祥は水とおしぼりを出しながら聞く。
「祥ちゃんの顔を見るまではサンドイッチと決めてたんやけどな」
宮本さんはそう言ってまた悩みだした。
なぜ祥の顔を見て悩むのだ。
祥の顔には『バタートースト』と書いているのだろうか。
うむむと悩む宮本さんの背中をチラッと見る。
「今日のTシャツも斬新ですね」
「せやろ?」
宮本さんは自慢げに背中を見せた。
宮本さんはいつも宣伝を兼ねて、自分のお店で売っているTシャツを着ている。
だが、そのTシャツがオリジナリティに溢れているのだ。
今日のTシャツのロゴは『台所』だ。
京都の土産物屋で売っているロゴTと言えば、『I♡京都』や『新選組』などが定番だが、宮本さんのお店では外国人向けに独自のTシャツを作っている。
「外国人にとっては、漢字はただの記号や。意味はどうでもいい。不思議とこの『台所』は人気なんやで」
「へー」
「祥ちゃんも一枚どうや?」
「けっこうです」
即答だ。
いくらファッションに疎い祥でも『台所』はない。
冷たいなーと嘆く宮本さんに、「早く注文を」と急かしていると、またドアベルが鳴った。