再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
「いらっしゃいませ」
宮本さんに掛けた言葉より、明らかにトーンが高い声が出た。
祥が密かに憧れているお客様が来たからだ。
色素の薄い髪、眼鏡の奥に隠されている眼も薄いベージュだ。
最初は外国の方かなと思ったけれど、日本語は流暢だし、面影も日本的なものを感じる。
おそらくハーフなんだろう。
169センチある祥が目線を上げないと目が合わない高身長。
〝背が高い〟
これも祥が憧れるポイントだ。
高身長がコンプレックスな祥にとって、自分が見上げないと目が合わないというのは憧れポイントが十倍増しになるのだ。
いつも分厚い本を持ってきて、窓際の席に座り静かに読んでいる。
いかにも賢そうな彼のことを、近所の国立大学に通う学生かな、と祥は勝手に推測していた。
水とおしぼりを持って行くと、迷わず「ブレンドとサンドイッチをお願いします」という低音ボイスが返ってくる。彼はいつもこの組み合わせなのだ。
「はい、少々お待ちください」
自分では一番可愛いと思っている声で答えると、彼はにっこりと微笑んでくれた。
かっこいい!!
祥は頬が熱くなるのを感じて、急いでカウンターに戻った。