再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
「あれ、祥ちゃん。どないしたん?久しぶりやな」
常連のお客様に不思議がられながら、祥は『珈琲』のホールに立っていた。
和子さんは朝早く元気に名古屋へと旅立ち、祥はつむぎと開店準備から手伝っている。
泉ホテルで働き出してからも少しの時間手伝うことはあったが、こんなに長時間ホールに立つのは久しぶりだ。
ご無沙汰してます、というお客様がたくさんいて、まるで同窓会のようだった。
「祥ちゃん、髪がちょっと伸びただけで、全然変わらんなぁ!」
むむ、それは成長していないということか?
立派なコンシェルジュになったつもりでいた祥は、少し複雑な気持ちである。
パタパタと忙しく祥が働く間、つむぎはカウンターに座って、絵本をよんだり、塗り絵をしたりして大人しく遊んでいる。
ありがたいことに「つむちゃんおいで」とテーブルに呼んでくれるお客様もいて、暇を持て余すことなく過ごせていた。
ランチ時を過ぎると店内は落ち着き、眠くなったつむぎはバックヤードで昼寝中。
祥がホッと一息ついていた時間に、その客はやってきた。