再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
「わしもブレンドとサンドイッチ!」
なんというタイミング…。
彼の声が宮本さんの声で上書きされてしまったではないか。
空気を読んでくださいよ、と勝手なことを思いながら、「はーい」と気の抜けた返事をした。
「お待たせしました」
出来上がったコーヒーとサンドイッチを持って行くと、彼は素敵な声で「ありがとう」とねぎらってくれる。
窓越しに差し込む陽射しで、髪はブロンドのように輝き、サンドイッチを食べる仕草も美しい。
祥はほうっと息をついて、憧れの君を見つめていた。
「祥ちゃん、そこの箱取って」
和子さんが棚の上を指さしながら言った。
ヤバッ!
いまはバイト中だ。ぼんやり見惚れている場合ではない。
祥はマスターよりも背が高く、二人の手が届かないゾーンは全部祥の担当なのだ。
多分、背の高さでスカウトされたんだろう。
箱に手を伸ばしてみると、思ったよりも高い位置にある。踏み台を持ってこようかなと一瞬迷ったが、面倒だったので背伸びをして箱に手をかけた。
すると後ろから手がすっと伸びてきて、箱はその手に持ちあげられた。