再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
ランチの繁忙時を過ぎた頃、『わかたけ文庫』の莉子さんもやってきた。
莉子さんは祥がホール係をしていることに驚いていたが、祥も莉子さんが『珈琲』のお客様になっていたので驚く。
「祥ちゃんが美味しいって教えてくれたから、ランチに時々お邪魔してるのよ」
バタートーストが一番好きなの、と莉子さんは嬉しそうに言った。
わかたけ文庫には、あの後数回行っている。お休みの日にもう一度ゆっくりと遊びに行き、仕事帰りに本を交換しに行ったりもした。
シンポジウム期間中には兄が一緒に行きたいと言うので、義姉と共に連れて行った。
「久しぶりだね」と兄は再会を喜んでいたが、莉子さんは二人を見て明らかに動揺し、挙動不審になっていた。
理由は聞かなかったが、どうやら過去に何かあったらしい。
魔女に意地悪されるお姫様。
手下は何も出来ずオロオロするだけ。
そんな図しか思い浮かばない。
残念なことだ。
莉子さんはバタートーストを食べ終わった後、つむぎをあずかると言ってくれた。
「祥ちゃんの仕事が終わるまで、娘たちと遊ばせておくわよ。もう幼稚園のお迎えの時間だし」
「一緒に行く?」
つむぎにも聞いてくれる。
つむぎが嬉しそうにコクコクと頷くので、お願いすることにする。
つむぎは新しくできたお友達に夢中なのだ。