再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
翌日は朝からつむぎが咳をしていた。
「コンコン」と咳をした後、小さくため息をつく。
二日間、いつもと違う生活のペースだったので体調を崩してしまったのかもしれない。
「つむ、大丈夫?」
「んー」
少しボーっとしているつむぎを連れて、職場に向かう。
子どもの具合が悪くなりそうという理由では仕事は休めない。
恵子先生に事情を話し、何かあったら連絡してくださいとお願いした。
コンシェルジュカウンターには麻季がいた。麻季は夜勤だったので、祥と交代になるのだ。
にこやかに引き継ぎしつつも、『アンタ、後で顔貸しな』と眼で脅す。
よくも勝手なことを!とギリギリと圧力をかける祥にニコリと微笑むと、麻季は素知らぬ顔で帰っていった。
昼過ぎに恵子先生から連絡が入る。やはりつむぎが発熱したようだ。
「とりあえず空き室で寝かしとくから、早めに上がってあげて」
「わかりました。すみません」
こういう場合、託児部から祥の上司に話が回る。マネージャーがスケジュール調整をしてくれて、祥は早めに上がれるようになるのだ。
三時過ぎに代わりの人が来てくれて、祥はつむぎの元に向かった。
つむぎは真っ赤な顔で苦しそうに息をしている。
「熱が高うなってきたから、お医者さんに診てもらって」
「ありがとうございました。すぐに病院に行ってきます」
恵子先生からつむぎを受け取ると、祥は急ぎ足で部屋を出た。
いつもはバックヤードにある従業員専用のエレベーターを使うのだが、部屋の前がエレベーターだったので、今日はごめんなさいと使わせてもらう。
「お医者さまに診てもらおうね」
熱い背中をさすると、つむぎは辛そうに咳をする。
エレベーターが降りる間も、はやくはやくと急く気持ちで落ち着かない。
やっと一階に着いてホッとしたのも束の間、そこには健斗が立っていた。