再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
「あっ」
思わず小さな声が漏れた。咄嗟につむぎを抱き直すと、すみませんと言いながら横をすり抜ける。
その時、健斗が祥の腕を引いた。
「待て。どうしたんだ」
「いえ、なんでもありません」
つむぎの頭を軽く肩に押し付け、健斗から顔が見えないようにした。
「なんでもなくはないだろう。子どもの具合が悪いのか」
いいえ、ともう一度言おうとしたとき、つむぎがコンコンと苦しそうに咳きこんだ。
「来い」
健斗は祥の腕を取ったまま、エレベーターに乗り込んだ。
「何をするんですかっ」
腕を振り払おうとしても、つむぎを抱いているのでうまくいかない。
健斗はつむぎの首の後ろに手を当てた。
「熱が高い。医者に診せたのか?」
「今から病院に行くところだったんですっ」
「キミは俺の職業を知らないのか?俺が診る。拒否するなよ。今は子どものことが最優先だ」
健斗は祥の背中を押すようして、健斗が泊っているセミスイートに連れて行った。