再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
自転車をかっ飛ばして家に帰り、あれもこれもと思いつくままカバンに入れた。
再び祥が大荷物を抱えて部屋に戻ってきたとき、つむぎは点滴を受けながら眠っていた。
「家出のようだな」
健斗に指摘され、そういえば一日だけなのにと気づいて恥ずかしくなる。
「それだけあれば、何日かは泊れるだろう」
もう反論しない。つむぎが一番楽な方法がいい。
「ありがとうございます。良くなるまでお世話になります」
祥は素直に頭を下げた。
ホテルのいい所は、ルームサービスで食事を持ってきてもらえるし、必要な備品も貸してもらえるところだ。
必要なものは祥が取りに行けばいいのだが、いきなり現れると「この時間になんでいるの?」と驚かれるだろう。
だからお客様のふりで、ルームサービスを取ったり、毛布を持ってきてもらったり、至れり尽くせりのサービスを受けた。
嫌な顔一つすることなく、笑顔で届けてくれるスタッフが素晴らしい。
自画自賛だが、泉ホテルのスタッフは最高だ。
こんな状況の中だが、祥は自分の仕事が誇らしかった。
寝心地のいいベッドに横になり、つむぎを気にしながらもウトウトする。
途中、咳き込む声で何度も目が覚めたが、隣の部屋に健斗がいると思うと安心できた。