再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
朝、つむぎを触るとまだ熱い。
小さな体全体から熱を発している。
そっとベッドを抜け出して隣のリビングに行くと、ソファーに横になっていた健斗が目を開けた。
「どんな具合だ」
「まだ熱が高そうです。すみません。ソファーに寝かせてしまって…」
「気にするな。こんなこと病院では頻繁にある。それに病院のソファーより、ここのソファーの方がずっと寝心地がよかった」
健斗は起き上がって、つむぎの元に行った。
聴診器で胸の音を聞き、頭を触る。
「後でもう一度点滴をしておこう。キミは仕事に行く準備をしろ」
本当に健斗に任せてしまってもいいのだろうか。
正直、二日間休みを取った後なので、仕事は休みづらい。
でも…
そんな祥の戸惑いを見透かすように健斗は言った。
「大丈夫だ。ちゃんと俺が看病する。キミは仕事に行け」
フッと昔のことがよみがえる。
祥は意外と気弱なところがあって、うじうじと小さなことで悩み勝ちなのだ。
そんなとき、健斗はいつも「大丈夫」と背中を押してくれた。
「同じホテルにいるんだ。何かあったらすぐに連絡するから」
最後にもう一押ししてくれたので、祥は決意した。
「本当に申し訳ございません。よろしくお願いいたします」
健斗は表情をゆるめて頷いた。
つむぎのことが気にかかりながらも、祥は仕事をこなした。
今は自分のできることをするしかないのだ。
それに、健斗がついていてくれる安心感は絶大だった。
でも、それは健斗だからじゃない。お医者さまに見ていてもらえるからだ。
自分にそう言い聞かせることで、祥は納得するようにしていた。