再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)
今日は一日忙しく、途中でつむぎの様子を見に行く余裕がなかった。終業時間も押してしまい、いつもより30分もあがるのが遅い。
祥は仕事が終わるやいなや大急ぎで健斗の部屋に向かい、インターフォンを鳴らした。
「ママ!おかえりなさーい」
元気に出迎えてくれたのは、つむぎだ。
「もうしんどくないの?大丈夫?いい子にしてた?」
矢継ぎ早に質問を投げかける祥に、つむぎは機嫌よくうんうんと頷いた。
あのね、あのねといつものようにその日にあったことを報告し始めたのを見て、ホッとする。
抱きついてきた体からももう熱は感じない。
「本当にお世話をおかけしました」
「とてもいい子だったから、何の問題もない」
「なあ?」と健斗がつむぎの頭をグリグリと撫でると、つむぎは嬉しそうにその腕につかまった。
「お礼は後日させていただきますので、今日はこれで失礼いたします。つむ、お家に帰ろう」
祥がそう促した途端、つむぎががっかりしたように俯いた。
「もう一日泊って行ったらいい。そういう約束なんだ」
健斗がポンとつむぎを抱き上げると、つむぎは嬉しそうに健斗に抱きついた。
「ママとおじちゃんとつむでご飯をたべるの。寝る前の絵本はおじちゃんが読んでくれるんだって」
いいでしょ?というように、つむぎが祥を窺う。
「明日の朝、調子が良ければ託児に預けても構わない。それまでは経過観察だ」
突然医者の立場で健斗が言う。
健斗の言っていることなどわかるわけがないのに、つむぎも真剣な顔でコクコクと頷いた。
そっくりな顔が二つ、真顔で祥をじーっと見つめている。
「……ではもう一泊お世話になります」
祥が渋々答えると、
「やったー」と喜んで、つむぎは健斗の首にかじりついた。
「ご飯を頼んでおくから、お母さんとお風呂に入ってきなさい」
「はーい」