再会は甘い恋のはじまり…とはかぎりません!(おまけ追加しました)

いやいや、ちょっと待って。
祥は頭を抱えた。

さすがに風呂上がりの姿を見せることはできないので、この数日間、祥は従業員用のシャワールームを使っていた。そんな当たり前のように「風呂に入れ」と言われても。

「お風呂はちょっと…」
もごもごと口ごもると、

「不衛生な状態はよくない。でも、あまり長く浸かりすぎないように。体力が落ちているから」

祥のことなどどうでもよさげに、医者から入浴の注意が返ってきた。

ああそうですか。
私が風呂上りだろうと何だろうと、なんとも思わないわけね。
上等だ。風呂でも何でも入ってやるとも。

むき―っと思いながらも、祥は慇懃に答える。

「わかりました。では娘の衛生状態を改善してまいります」
「おふろー、おふろー」

やけにはしゃぐつむぎを見て、ため息を吐きたい気分だったが、仕方なくバスルームに向かった。

ジュニアスイートの部屋のお風呂は、ジェットバスになっている。

「おふろ、アワぶくぶくだね!」

つむぎはシュワシュワと出てくる泡に興奮し、なかなか上がろうとしない。

「ほら、あがるよ」
「やだ!まだあそぶ」

「ご飯を一緒に食べるんでしょ?おじちゃん待ってるかも…」
「出る!」

つむぎは急いで湯船から上がった。
健斗の名前を出しただけで効果てきめんだ。

いつもは「早く着なさい」と急かさないと着ない服も、今日はサッサと着る。
髪を乾かす間もいつになく大人しく、つむぎが飛び出すように出て行ったときには、なんなのよと地団駄を踏みたいくらいだった。

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