男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
王都編~ラビとノエルの話し合い~
「へぇ、獣師なのかい! 小さいのにすごいねぇ」

 僕はなんでか動物に嫌われるんだよねぇ、と悠長にケイティは話し続ける。

 ラビは購入できたパンがたんまり入った袋を抱えて、彼の隣を歩いていた。話す中で、彼には実年齢よりだいぶ幼く見られているようだと分かったものの、その誤解について修正しようという気も起きなかった。

 もう色々と、なんと言っていいのか分からない複雑な心境である。

 一番驚いたのは、紹介された一軒目のパン屋で、不審な目を一切向けられなかった事だろうか。
 ケイティはこちらの年齢や、王都にきたばかりであるという身から配慮してくれたのか、市民に人気なのだという手ごろな価格の美味しいパン屋さん、というところを教えてくれた。

 店主は恰幅の良い、やけに睫毛が長く目力のある彫りの深い男で、こちらを見て普通に「いらっしゃい」と元気に声をかけてきた。気前よくサービスで多めにパンをもらい、ついでとばかりにサンドイッチまでもらってしまって、今に至る。
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