男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
 彼らと過ごしたのは数日ほどなのだが、名前を呼び合うほどの仲でもないというのに、早々に失礼な発言をする連中だった。十七歳だと告白したら、一気に騒がれた事もある。しかも、堂々とチビという言葉を使って、平気で呼びかけてくるしまつである。

「そっちもお疲れ様。でも言っておくけど、お前らがデカ過ぎるだけであって、オレの身長はこれから伸びる予定なんだからなッ」

 思わずギロリと威圧すると、ジンが反射的に顎を押さえて一歩後退し、「お、おぅ」とぎこちなく答えた。成長期真っ最中のテトも、俺もこれから伸びるから一緒だな、という普段の軽口も返せず先輩騎士達と視線を交わす。

 彼ら四人は、以前氷狼の一件があったラオルテの町で、うっかりこの獣師が女性であると知ってしまった面々だった。だから、十七歳の女性の成長期が、男性と違って早くに終わってしまう事も知っている。

 今のところ、第三騎士団で『獣師ラビ』が女性であると知っているのは、副団長のセドリック、団長及び副団長補佐官のユリシスと、彼ら四人の合計六人である。
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