男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
 しばらくもしないうちに、彼がある方向へ顔を真っすぐ向けた。そこに目を凝らしたラビは、混みあう群衆の中で祭状態のような賑やかさとは正反対の、道標のように騒ぎが連なっている大通りが目に留まって、大きな目を丸くした。

「確かに、上から見た方がよく分かるね……というか、あいつら馬鹿なの? 追われているんなら逆効果だと思うんだけど」
『多分すぐに町を出るつもりなんだろ。人の入れ替わりが激しい定住区外ってのは、だから普段から治安もそこまで良くねぇところが多い』

 その点は懸念してんだよなぁ……とノエルは、つい口の中に独白を落とした。場合によっては、金髪金目に対する過激な態度に出る連中が出る可能性も、皆無ではない。
 ホノワ村がある地方ではないが、一部では昔から、見世物小屋や人身売買も続いている。その関係商人が、この街を出入りしていないとも限らない。
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