男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
 テトが「まぁ怪我もないようで何よりだけど」と独り言のように報告の感想を言う中、ラビは怪訝そうにヴァンを睨み返して「聞き捨てならないんだけど?」と腰に手をあてた。

「まるで、オレがきっかけで騒ぎが余計デカくなったみたいに言うなよ」
「事実そうだろ」

 ジンが、すかさず口を挟んだ。騒ぎの目撃者の多くが、金髪もしくは金目の小さな少年の騒がしい活躍っぷりを証言している。

 正座させられていた盗賊達は、ラビの背中越しにセドリック達を見て、小さく泣きながら訴えた。

「このチビ凶暴すぎるよ」
「保護者なら、しっかり手綱握っておけよ」
「容赦ない暴力が怖い……」

 ノエルがなんとも言えない顔を向けて、ラビはメソメソと弱音をこぼす彼らを怪訝そうに見やった。セドリックとヴァン達は、ボロボロになった男達の身に何が起こったのか容易に想像出来て、心の底から同情した。

 秀麗な眉を忌々しげに寄せていたユリシスが、この場をスムーズに進めるために、吐き出したい文句をぐっと抑え込んだ表情でこう言った。
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