男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
「どうして珍しそうな顔をしているんだい、シャキっとしな。誰に聞かれようが、あたしは断言するよ。あの子は綺麗さ。横顔から覗いた金色の瞳も、とても素敵だったよ」
「――そう、言ってくださると、助かります」
一瞬言葉に詰まり、数秒の間を置いて、セドリックはどうにか微笑んで見せた。村にいた人達が、ラビに向かってどれだけ冷たい態度で、どんなにひどい事を言ったのか、その光景を覚えているからこそ涙腺が緩みそうになった。
困ったように微笑むセドリックの表情から察したのか、老婆は「そうかい」と労うように優しく言った。
「あんた、あの子とは随分長い付き合いなんだねぇ。色々と苦労があって、それを間近で見て、色々と思う所もあったんだろう」
優しい子だね、と老婆は微笑を浮かべたまま、自分に言い聞かせるような口調でそう呟いた。かなり高齢のようだが、しっかりとした足取りで歩きだす。
しかし不意に、彼女は「ああ、これが本題だったのに、忘れていた」とこちらを振り返った。
「ここは余所(よそ)からの出入りも多いからね、荒くれ者がいないとは限らないし、もとから商売している連中の中には、煩いやつらもいる。その金髪の子供が、巻き込まれなければいいけどね」
「そうですか、ご忠告ありがとうございます」
セドリックは、心から感謝をして老婆を見送った。
老婆が親切に教えてくれた言葉を聞いて、ジンとテトが顔を見合わせた。ヴァンは、心配するサーバルの視線に気付かない振りをして、じっくりと考えるように新しい煙草を取り出した。
「――そう、言ってくださると、助かります」
一瞬言葉に詰まり、数秒の間を置いて、セドリックはどうにか微笑んで見せた。村にいた人達が、ラビに向かってどれだけ冷たい態度で、どんなにひどい事を言ったのか、その光景を覚えているからこそ涙腺が緩みそうになった。
困ったように微笑むセドリックの表情から察したのか、老婆は「そうかい」と労うように優しく言った。
「あんた、あの子とは随分長い付き合いなんだねぇ。色々と苦労があって、それを間近で見て、色々と思う所もあったんだろう」
優しい子だね、と老婆は微笑を浮かべたまま、自分に言い聞かせるような口調でそう呟いた。かなり高齢のようだが、しっかりとした足取りで歩きだす。
しかし不意に、彼女は「ああ、これが本題だったのに、忘れていた」とこちらを振り返った。
「ここは余所(よそ)からの出入りも多いからね、荒くれ者がいないとは限らないし、もとから商売している連中の中には、煩いやつらもいる。その金髪の子供が、巻き込まれなければいいけどね」
「そうですか、ご忠告ありがとうございます」
セドリックは、心から感謝をして老婆を見送った。
老婆が親切に教えてくれた言葉を聞いて、ジンとテトが顔を見合わせた。ヴァンは、心配するサーバルの視線に気付かない振りをして、じっくりと考えるように新しい煙草を取り出した。