男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
「まるで魔法みたいな話ですね」
セドリックが、素直な感想を口にした。ノエルが数秒ほどむっとした様子で黙り込んで、それから『…………魔術ってのは、そんなモンだ』と、あまり口にしたくない話題だと言わんばかりの口調で呟き、こう続けた。
『注意すべきは、それだけじゃねぇぞ。遺跡ってのは、人間が物理的に仕掛けた罠も多い。だから出来るだけ、物には触れたりしない方がいい』
つまり慎重である事が必要だ。そう改めて気を引き締めたところで、ラビ達はノエルと共に森の奥へと足を進めた。
※※※
アビードの街で騒ぎを起こした三人の盗賊は、二十代中盤を越えた三歳年上の長男ベックが、リーダーとして率いている兄弟三人の小さな盗賊団だ。どうにか脱出を果たした彼らは、ラビ達の馬車が遺跡に向かうと知って、こっそり追っていた。
「文化的な遺跡だっていうからノーマークだったが、騎士団がああやって、わざわざお忍びみたいな馬車で調べに向かっているって事は、お宝があるに違いねぇ。やられてもただじゃ起きねぇのが、俺のポリシーだ」
「さすが兄貴ッ。縄をぶちぎった執念も半端じゃねぇな」
セドリックが、素直な感想を口にした。ノエルが数秒ほどむっとした様子で黙り込んで、それから『…………魔術ってのは、そんなモンだ』と、あまり口にしたくない話題だと言わんばかりの口調で呟き、こう続けた。
『注意すべきは、それだけじゃねぇぞ。遺跡ってのは、人間が物理的に仕掛けた罠も多い。だから出来るだけ、物には触れたりしない方がいい』
つまり慎重である事が必要だ。そう改めて気を引き締めたところで、ラビ達はノエルと共に森の奥へと足を進めた。
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アビードの街で騒ぎを起こした三人の盗賊は、二十代中盤を越えた三歳年上の長男ベックが、リーダーとして率いている兄弟三人の小さな盗賊団だ。どうにか脱出を果たした彼らは、ラビ達の馬車が遺跡に向かうと知って、こっそり追っていた。
「文化的な遺跡だっていうからノーマークだったが、騎士団がああやって、わざわざお忍びみたいな馬車で調べに向かっているって事は、お宝があるに違いねぇ。やられてもただじゃ起きねぇのが、俺のポリシーだ」
「さすが兄貴ッ。縄をぶちぎった執念も半端じゃねぇな」