男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
「おいワンコ、真っ直ぐ行くと祭壇っていう造りだと言っていたよな。神殿ってのは、今で言うところの教会みてぇなもんなのか?」
『煙草野郎、俺はワンコじゃなくて狼だ――まぁ似ているかもな。機関や住居が一緒になっているタイプだと、複雑迷路だが、そうじゃない場所は表の正面中央がメインの祭壇、その奥に色々とあんだ』

 その声を耳にして、ラビはクソ忌々しい長身のユリシスから、親友のノエルへと視線を移した。

「奥に空間があるって事は、オレらは祭壇の向こうを目指すの?」
『いや、調べるのはまず、中心になっている祭壇部分の大広間だ。神殿ってのは、良い物も悪い物も保管しているから、どちらとも言えねぇんだよ。地下を持っている場所だと、案外メインの広間に仕掛けがあって、別部屋までの入口や通路が隠されている場合も多い』
「それで、まずは祭壇って言ったんだね」
『おぅ。これだけバカデカい建造物となると、かなりの人間が祭事で集まれるくらいの規模だっただろうから、調べるだけでも骨が折れそうだけどな。広く取った空間ってのは崩れやすいから、そこがちょっと気掛かりではある』
< 252 / 398 >

この作品をシェア

pagetop