男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
 術によっては、一度きりの発動タイプのものと、込められた魔力が尽きるまで、目的が達成されない限り終わらないタイプのものがある。厄介な事に後者なのだ、とトーリは説明した。

 首飾りにかけられているものだけでなく、この神殿には、ラティーシャ以外の上級妖獣師達が残していった術も、多くあるのだという。

『だから、悪い事は言わないから諦めた方がいい。特にあの首飾りの術具は、仕込まれていた複数の術も解放されて、防衛と反撃をしてくるだけじゃなくて、発動した魔術で【移動型】になっているんだ。魔力が感知出来なくて、そのうえチビなら尚更どうにもならねぇよ』

 移動型って、一体なんだろうか。
 そもそも、反撃という言葉が既に物騒である。

 ラビは、一気に色々と続けて説明されたせいもあって、すぐには言葉が出てこず、嫌な予感を覚えるままノエルと視線を絡めた。てっきりどこかに隠されているとばかり思っていた『宝』が、今も絶賛動き回っている、という事だろうか?
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